自分の性格が嫌い。
自分を変えたいけど変えられない…。
そんなふうにお悩みではないでしょうか?
多くの人は、「過去にこんなトラウマがあるから、自分の性格はこうなってしまい、変えられないんだ」と考えてしまいますよね。
でも、本当にそうでしょうか?
「嫌われる勇気」という本で有名になったアドラー心理学では、「人は変われる」と説いています。
なぜ、人は変われるのか?
その考え方を知ることで、みなさんが「自分を変える」という勇気を持てるようになればと思い、この記事にまとめました。
- 人は変われるのか知りたい
- 自分を変える勇気が欲しい
- 「嫌われる勇気」の内容をわかりやすく知りたい
この記事を書いた人
- 人は変われる。変わる勇気があれば
- 劣等感は主観的な解釈でしかない
- 承認欲求は捨てよ
- 課題の分離をしよう
- 必要なのは勇気づけ
この記事で1つずつ解説していきます♪
アドラー心理学とは
アドラー心理学とは、フロイト、ユングと並び「心理学の世界三大巨頭」とも呼ばれるアルフレッド・アドラーが提唱した思想のことを指します。
アドラー心理学の最大の特徴は、「目的論」と呼ばれる立場をとることです。
目的論とは
現在の行動や悩みは、過去に原因があるのではなく、未来をどうしたいかという「目的」に沿って起こっているという考え。
例えば、
過去にいじめを受けたから(原因)、人を信頼できない(結果)
という、過去の原因→結果ではなく、
人を信頼したくないために(目的)、過去にいじめを受けた記憶を持ち出す(自分で選択している)
というふうに、目的があって→その道を選択している
と考えるのがアドラー心理学です。
人は変われるのか
過去にいじめを受けたから(原因)人を信頼できない(結果)
というのは、とても理解しやすい図式ではありますが、
この立場に立ってしまうと、過去は変えられないから現在も変えられない、と過去にずっと縛られてしまいます。
過去にずっと縛られるのは苦しいですよね。
でも、アドラーの目的論の内容によれば、
人を信頼したくないために(目的)、過去にいじめを受けた記憶を持ち出す(自分で選択している)
というように、今の行動を選択しているのは今の自分なのです。
つまり、「過去は関係なく、今の自分は変えられる」というのがアドラー心理学の考え方なのです。
人生に活かしたいアドラー心理学の考え5選
アドラー心理学は、「人は誰でも変われる」という前向きな理論を持った心理学です。
「本当にそうなの?」と疑うのはもちろん自由です。
でも、本当に変わりたいなら、「人は変われる」というのを信じて生きていた方が幸せではないでしょうか?
ここからは、人生に勇気が出てくるアドラー心理学のエッセンスを5つご紹介します。
人は変われる。変わる勇気があれば
アドラー心理学は、人を信頼したくないために(目的)、過去にいじめを受けた記憶を持ち出す(自分で選択している)という、「目的論」の立場でしたね。
これはつまり、
行動は今の自分が選択しているのだから、人は変われる
ということです。
ただし、ここで注意すべき内容があります。
あくまで、変えられるのは自分のライフスタイル(性格や世界観)であり、自分という存在そのものが変わるわけではないということです。
例えば、憧れの女優さんがいたとして、「その人になりたい」というのは、どう考えても無理な話ですよね。
だって、絶対にその女優さんそのものになることはできないですから。
じゃあ、人は変われるなんて嘘じゃん!と思った方もいるかもしれません。
これに関して、アドラー心理学は、「何が与えられているかではなく、与えられたものをどう使うか」という考え方をしています。
つまり、「私という存在をうまく活かして、どうやって人生をより良くしていこうか」を考えることはできるということです。
先ほどの例なら、「女優さんそのものになることは不可能だけど、魅力的なエッセンス(例えば、メイクや髪型)を取り入れることはできる」という考えですね。
こちらの方が現実的で健全な考えですよね!
それでは、具体的にはどうやって人は変われるの?と思いますよね。
その方法をアドラー心理学では「勇気づけ」と呼んでいます。
この「勇気づけ」に関しては、5つ目の項目で詳しく解説します。
劣等感は主観的な解釈でしかない
アドラーは、悩みについて以下のように言っています。
すべての悩みは対人関係である
「嫌われる勇気」 岸見一郎 古賀史健 著
つまり、「自分は内気な人間だ」とか「お金がない」という悩みも、そこには「○○さんと比べて」というニュアンスを含んでいますよね。
誰かと比べて初めて、自分の違いがわかり、それがネガティブな方向に働くと劣等感になります。
ですが、
劣等感とは、客観的な事実ではなく、あくまで主観的な解釈でしかない
とアドラーは言います。
例えば、「自分は内気な人間だ」と悩んでいる人がいるとします。
本来、内気というのは性質の話をしているだけであって、それ自体は良いことでも悪いことでもないはずです。
「内気である」という性質に対して、「内気なことはよくないことである」というネガティブな意味づけを、自分自身がしているだけなのです。
では、劣等感とうまく付き合うにはどうしたらいいのでしょうか。
1つ目は、「内気である」という性質に、別のポジティブな意味づけをしなおすことです。
ネガティブな意味づけをしたのは自分なので、この意味づけを別の望ましいものに変えることも可能なのです。
2つ目は、劣等感をバネにして、自分を変える行動を起こすことです。
アドラーは、「劣等感は誰にでもあるものだ」と認めています。
劣等感をバネにして、自分を変えようとするのは自然なことなのです。
問題は、「劣等感を言い訳にして、何も行動しないこと」です。
できない理由を探すのは簡単ですが、それでは自分の人生を良いものに変えていくことはできないでしょう。
承認欲求は捨てよ
人間誰しも、「親に褒められたい」「あの人に認められたい」という承認欲求は持っていますよね。
誰かに承認されることで、劣等感が消える、という場合もあるかもしれません。
ですが、アドラー心理学は
承認欲求は捨てよ
という立場をとります。
これこそが、自分の人生を自由に生きるために必要なことなのです。
ユダヤ教の教えに、こんな言葉があります。
「自分が自分のために自分の人生を生きていないのであれば、いったい誰が自分のために生きてくれるだろうか」
「嫌われる勇気」 岸見一郎 古賀史健 著
私たちは、他者の期待を満たすために生きているのではありません。
同様に、他者もまた、あなたの期待を満たすために生きてはいないのです。
承認してくれるかもわからない他者に対して、他人の期待に応えようと生きることは、苦しいですよね。
嫌われる勇気とは
本のタイトルにもなっている「嫌われる勇気」とは、
嫌われてもいいという勇気を持って、自分で自分の人生に最適な選択をしよう
ということなのです。
「承認欲求は捨てよ」で説明した通り、「嫌われないために、他人の期待に応えよう」という生き方は、自由ではないし苦しいです。
一方で、自由に生きようとすれば、どんな人であれ、自分のことを嫌う人は現れます。
でも、それこそが「自分が自由に生きている」という証なのです。
また、誰かに嫌われたとしても、それは他者の課題であって、自分の課題ではありません。
これを課題の分離と言います。
課題の分離をしよう
課題の分離とは、以下のことを指します。
「これは誰の課題なのか?」という視点から、自分の課題と他者の課題を分離すること
そして、他者の課題には踏み込んではいけません。
それはすなわち、他者が変わろうとする「勇気」を奪うことにつながるからです。
つまり、自分を変えることができるのは、自分しかいないということです。
これは、私自身大いに反省すべきことがあります。
休職前の仕事では、商品を仕入れるため、毎月の販売数を予測する仕事もしていました。
その時、一緒にペアを組んで、商品を仕入れる業務をやっている同僚がいました。
その同僚があまりにもミスを連発するので、私は仕事を任せることができず、ついにはその同僚の仕事までやってしまっていたのです。
今思えば、同僚がミスをしないように変わろうとする「勇気」を奪い、さらに言えば、その同僚の上司が、部下を教育する「勇気」を奪っていたなと思います。
そうすることで問題は認識されなくなり、私は仕事を抱えすぎてキャパオーバーになるなど、良いことは一つもありませんでした。
自分の課題と他者の課題を分離しましょう!
この考えができると対人関係はかなり自由になります。
では、他者が困っている時、何も手を差し伸べなくていいのか、と言われるとそれも違います。
他者に必要なのは、「介入」ではなく「援助」だとアドラーは言います。
それが「勇気づけ」と呼ばれるものです。これから解説します。
必要なのは勇気づけ
自分のライフスタイル(性格や世界観)を変えたり、人生の課題に立ち向かうには「勇気」が必要です。
なぜなら、未知の出来事に対し、どう対処したらいいのかがわからないからです。
でも、ライフスタイル(性格や価値観)を望ましいものに変えたり、人生の課題に立ち向かって幸せになりたいですよね。
アドラーは、「幸せになる勇気を持とう」と言っています。
アドラー心理学は「勇気の心理学」とも言われているのです。
では、勇気を持つにはどうしたらいいのでしょうか?
アドラーは、「自分は共同体にとって価値があると思えたときにだけ、勇気を持てる」と言います。
共同体とは
共同体とは、他者を仲間だとみなし、そこに「自分の居場所がある」と感じられるもののことです。
例えば、家庭、学校、職場、地域、国など、大きさは様々です。
アドラーは、「より大きな共同体の声を聞け」と言っています。
これは、学校でどうしても「自分の居場所がある」と感じられないなら、それより大きな、地域社会(地域のサークルなど学校の外の世界)などに居場所を求めればいいという考え方です。
そして、「自分の居場所がある」と感じられる共同体に対して、「自分は共同体にとって価値がある」と思えたときに、勇気を持てると言います。
ただし、ここで注意すべき内容があります。
「自分は共同体にとって価値がある」と感じるのは、あくまで主観的な評価でいい
ということです。
今まで説明してきたように、アドラー心理学では「承認欲求は捨てよ」という立場をとります。
つまり、「あなたは価値があるよ」と他者から認められたから価値がある、というのは間違いなのです。
あくまで、自分自身が主観的に共同体の役に立っていると感じること、によって初めて勇気を持つことができます。
他者を勇気づけるには?
では、他者を勇気づけるには具体的にはどうしたらいいのでしょうか?
それは
「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えること
です。
正直、これがとっても難しいことなのですが(笑)
ポイントは、行為ではなく、存在のレベルで感謝することです。
たとえ勇気づけたい相手が好ましくない行動をとっていたとしても、「いてくれてありがとう」と存在自体に感謝します。
そうすれば、「相手が主観的に」自分は共同体の役に立っていると感じる可能性が高まり、勇気を持つことができます。
繰り返しになりますが、褒めたり、認めたり、叱ったりするのは、「承認欲求を満たす」ことにつながってしまうのでNGなのです。
相手の存在に感謝する。シンプルですが、とっても難しいですよね(笑)
ですが、アドラーは「誰かが始めなければならない」と言っています。
まとめ:人は変われると信じるのが第一歩
この記事では、「嫌われる勇気」で有名になったアドラー心理学のエッセンスをお届けしました。
知っておくと勇気が出てくる点をおさらいします。
- 人は変われる。変わる勇気があれば
- 劣等感は主観的な解釈でしかない
- 承認欲求は捨てよ
- 課題の分離をしよう
- 必要なのは勇気づけ
「人は変われるのか」という問いに対し、アドラー心理学は「YES」というポジティブな立場の心理学です。
変われない理由を探すより、変わる方法を探す生き方のほうが、ずっと楽しいですよね。
まずは「人は変われる」と信じることが第一歩です。
アドラー心理学のエッセンスを知って、少しでも人生に対してポジティブに考えられるようになったら嬉しいです。
さらにアドラー心理学について知りたい方は
「嫌われる勇気」を読むことをおすすめします!
- 悩み多き青年と、哲学者の対話形式で話が進むのでわかりやすい
- 専門用語が少なくて読みやすい
- アドラー心理学のエッセンスがよくわかる