どうしても会社が合わなくて退職したい…
でも、退職したら生活ができなくなるんじゃないか?
このような不安から、メンタルに不調をきたしているのに、我慢して今の仕事を続けている方もきっといますよね。
この記事では、知っておきたい退職後にもらえるお金について解説します。
知識があれば、会社員生活も安心して送れますね♪
- どうしても退職したいけど、退職後の生活費が不安
- 次の就職先が決まっていないけど金銭的に大丈夫?
この記事を書いた人
- 退職後にもらえるお金についてわかる
- 失業手当の申請の流れがよくわかる
- 退職後のイメージが湧き、安心して会社員生活が送れる
メンタル不調で退職後にもらえるお金は?
メンタル不調で退職した会社員の場合、もらえる可能性のあるお金は以下です。
- 退職金
- 傷病手当金
- 失業手当
退職金は、会社規定によって異なります。時間のある時に規定を読んでおきましょう。
この記事では、特に、退職後の生活費のベースとなる「傷病手当金」「失業手当」について解説します。
傷病手当金の解説
ここから、傷病手当金について解説します。
傷病手当金とは
傷病手当金とは、病気やけがによる休職中の生活を保障するために設けられた制度で、給料の2/3の金額を、通算で1年6ヶ月の間受け取ることができます。
通常は、在職中に申請するお金ですが、一定の条件を満たせば退職後にも受給可能です。
ただし、退職後は、一度でも働いてしまうと、「働ける状態である」と判断され、残り期間に関わらず傷病手当金の支給は打ち切りになります。
退職前から給付していた場合
退職前から傷病手当金を受給していた場合は、以下の3つの条件を満たせば、退職後も継続して受給できます。
- 被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間があること。
- 資格喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること。
- 退職日は、必ず出勤しないこと。(有給休暇はOK)
特に、3の「退職日は必ず出勤しないこと」が重要です。
退職日に出社してしまうと、退職後の傷病手当金の支給ができなくなってしまいます。
退職後に初めて申請する場合
退職後に初めて傷病手当金を申請する場合は、以下の条件を満たす必要があります。
- 業務外の病気やケガの療養のための休業であること
- 仕事に就くことができないこと
- 在職中に、連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間があること。
- 退職日は、必ず出勤しないこと。(有給休暇はOK)
ポイントは、退職前に医師の診断(1、2の証明になる)を受け、連続する3日を含み4日以上休んでから、退職することです。
そして、ここでも「退職日は必ず出勤しない」を徹底してください。
すぐに退職せず、まずは退職前に4日以上休みましょう!
もらえる金額
もらえる金額の計算式は、以下の通りです。
標準報酬月額の2/3の金額を受け取ることができます。
1日あたりの金額=直近12カ月の標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2(休業した日単位で支給)
もらえる期間
在職中は、通算で1年6ヶ月間は受給することができます。
通算というのは、受給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合には、受給開始日から1年6ヶ月を超えても、受給期間の合計が1年6ヶ月になるまで繰り返して受給可能ということです。
しかし、退職後は、1年6ヶ月から、在職中に受給していた期間を引いた月数まで受給できることになります。
退職後は、一度でも就労した場合は、以降の傷病手当金の受給はできませんので注意しましょう。
退職後にもらえる条件について、ご自身の健康保険組合の規定を十分確認しておきましょう。
傷病手当金の申請方法
退職後に傷病手当金を申請する流れは以下の通りです。
- 在職中に医師の診断書をもらい、それを根拠に連続した3日を含む4日以上休む
- 健康保険組合から、傷病手当金の申請書を取り寄せる
- 申請書の本人記入欄に記入し、医師の記入欄を医師に記入してもらう
- 会社(もしくは健康保険組合)に提出し、会社記入欄に記入してもらい、会社の担当者に手続きをしてもらう。
申請書の申請期間は、在職中に診断を受けて休み始めた日から記入します。
なお、傷病手当金は事後申請になります。
多くの場合、診断を受けて休んでから1ヶ月後くらいに、1ヶ月分の期間の申請を出すというような流れになります。
以後、1ヶ月ごとに申請書を提出して傷病手当金の支給を受け続けます。
詳しくは、ご自身の健康保険組合の傷病手当金の申請方法を確認しましょう。
失業手当の解説
ここからは、自己都合による失業手当について解説します。
失業手当とは
失業手当の正式名称は「雇用保険の基本手当」と言います。
失業手当は、失業した人が安定した生活を送りつつ、1日でも早く再就職するための支援として給付されるお金です。
就職する意思があり、いつでも就職できる能力がある人に対しての受給なので、病気ですぐには就職できない時は受給できません。
メンタル不調などですぐに就職できない場合は、傷病手当金を申請しましょう。
傷病手当金と失業手当の違いを理解しておきましょう。
もらえる条件
失業手当がもらえる条件は以下の通りです。
- 退職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること
- ハローワークに来所し、求職の申し込みを行い、就職しようとする積極的な意思があるのに就職できない状態であること。
メンタル不調ですぐに就職できない場合は、失業手当の受給期間の延長ができます。
必要な方はハローワークで延長申請をしましょう。
もらえる金額
失業手当の金額はおおよそ退職前の給与の50~80%です。
失業手当の1日あたりの額=退職前6ヶ月間に支払われた給与の合計額÷180日×50~80%
※上限あり。29歳以下は6,835円/日、30~44歳は7,595円/日
失業手当の支給総額=1日あたりの額×給付日数
給付日数は、自己都合での退職の場合、雇用保険の被保険者期間によって変わり、以下の通りです。
一般の離職者(自己都合退職)の場合
被保険者であった期間 | ||
10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
90日 | 120日 | 150日 |
もらえる期間
受給資格決定日から通算して7日間は待機期間といい、その期間が満了するまでは、どんな理由であれ失業手当は支給されません。
さらに、自己都合の退職の場合は、そこから2~3ヶ月の給付制限が設けられているため、その期間は失業手当の給付を受けられません。
つまり、自己都合での退職の場合、失業手当がもらえるのは早くて3ヶ月目からになります。
また、失業手当がもらえる期間(給付日数)は、自己都合での退職の場合、90日〜150日分の失業手当を受給することができます。
最低でも90日分は失業手当を受け取ることができます。
失業手当の申請方法
失業手当の申請の流れは以下の通りです。
- ハローワークで求職の申し込み
- 雇用保険受給者初回説明会に参加
- 失業認定日に、求職活動の報告(失業認定)
以後、4週間に一度、失業の認定を行い、失業手当を受給する流れになります。
1つずつ解説します。
1.ハローワークで求職の申し込み
まず、自分の住所を管轄するハローワークで「求職の申し込み」を行う必要があります。
必要書類は以下の通りです。
- 雇用保険被保険者離職票(退職時に会社から受け取る)
- 個人番号確認書類
- 身元確認書類
- 証明写真2枚
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
ここで、受給条件を満たしていることを確認した上で、受給資格の決定を行います。
2.雇用保険受給者初回説明会に参加
受給説明会では、失業手当の受給について重要事項の説明が行われますので、必ず出席します。
この時に、
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書
が渡され、第一回目の「失業認定日」が知らされます。
3.失業認定日に、求職活動の報告
指定された日に管轄のハローワークに行き、「失業認定申告書」に求職活動の状況を記入し、「雇用保険受給資格証」とともに提出します。
失業手当を受けるには、前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間に、原則として2回以上の求職活動の実績が必要です。
これらを提出することで、失業認定がされ、失業手当が振り込まれるようになります。
- 求人への応募
- ハローワークが行う職業相談等を受けたこと、各種講習の受講など
- 許可・届出のある民間期間が行う職業相談等を受けたこと、セミナー等の受講など
- 公的機関等が実施する職業相談等を受けたこと、セミナー等の受講など
- 再就職に資する各種国家試験、検定等の資格試験の受験
説明会、失業認定日など、必ず出席しましょう。
傷病手当金と失業手当は同時にもらえる?
傷病手当金と失業手当を同時に受給することはできません。
なぜなら、それぞれ制度の目的が異なるからです。
- 傷病手当金:病気やケガで働けない状態にある方の生活を保障するため
- 失業手当:働ける状態なのに就職が決まらない方の生活を保障するため
したがって、メンタル不調の療養をしたい場合は傷病手当金を、もう働ける状態だが就職先が決まらない場合は失業手当を申請することになります。
なお、失業手当は、受給期間を最大4年間まで延長できる制度があります。
まずは傷病手当金をもらいながら療養し、働ける状態になったら失業手当をもらうこともできるので、必要な場合はハローワークで延長申請をしましょう。
違いを正しく理解しておきましょう。
退職する際に考えたいポイント
ここからは、もし退職に踏み切る場合に、考えておきたいポイントをご紹介します。
休む期間は決めておく
退職後、しばらくはメンタルを整えるためにゆっくり休みたいという方も多いでしょう。
それももちろん良いのですが、できれば、「いつまで休むか」は決めておいたほうがよいです。
休む期間が長くなると、仕事を再開する際の心理的なハードルがどんどん上がってしまいます。
また、次も会社に就職する場合、空白期間があると、「なぜ働かなかったのか」と聞かれる可能性もあります。
できるだけマイナスイメージを与えないようにするためにも、休む期間は決めておいて、その期間でしっかりと体調を整えるようにすると良いでしょう。
休む期間のイメージを持っておくと安心です♪
計画的に次の仕事を考える
退職後、しっかり休んだ後は、「次の仕事をどうするか」を計画的に考えましょう。
退職後にもらえるお金はありますが、やはり期限はあります。
期限間近になって焦ることのないように、計画的に次の仕事を考えるようにしましょう。
フリーランスを目指す場合は、そのスキルを学べるスクールに入ったり、もう一度会社に就職する場合は、転職エージェントを活用するなど、プロから学ぶ環境を取り入れるとスムーズに進みます。
一人で悩まずに、プロに相談しましょう。
まとめ:退職後もらえるお金を知って、安心して会社員生活を送ろう
この記事では、どうしても退職したい時に、退職後にもらえるお金について解説しました。
大事な部分をおさらいします。
- 退職金
- 傷病手当金
- 失業手当
- 傷病手当金は、病気で働けない時にもらえるお金
- 失業手当は、働ける状態だが就職できないときにもらえるお金
- 同時受給はできない
- 傷病手当金は、最大1年6ヶ月間、おおよそ給料の2/3の金額が受け取れる
- 失業手当は、90日〜150日分、おおよそ給料の50~80%が受け取れる
- 失業手当の受給期間を延長し、傷病手当金→失業手当の順に受け取ることもできる
退職後にもらえるお金について知っておけば、我慢して今の会社で働き続けることもなく、安心して会社員生活を送れますね。
ぜひこの記事の内容を知識として持っておいてください。